広島弁護士会所属 福山市の弁護士森脇淳一

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新型コロナ禍の下での近況

2020.05.01

 相当以前から、いずれ確実に「パンデミック」が起こり、現代社会では大変なことが起こると警鐘を鳴らす書籍が出版されていることを新聞広告などで知っていたが(読んだことはない)、こういうことだったんだと実感させられる日々が続いている。感染症で人が死ぬことは日常のことであり、今回のウイルスが実際にそれほど特別のものなのだろうか、という思いも持っていたが、先日、ある医師から、今回の新型コロナウイルスは、急激に症状が悪化するからこれまでのウイルスとは違う、サーズの遺伝子構造(?)と3か所違うだけだから人工的なものではないかと実しやかに囁かれている、というような話を聞いた。そうだとすると、私の先々月のコラム「近況(2020年2月)」は、能天気な戯言だったと言わざるを得ない。
 この時期、のんびりと私の半生記や裁判官・司法制度論を認める気分にはなれず、やむなく、今回は私の周囲の様子を記したい。来月も状況が変わらなければ、このコラムもしばらくお休みするかもしれないが、ご了承願いたい。
 全国に非常事態宣言が出されて以降、裁判所は、5月6日までの期日を、一部の刑事事件等(注1)を除き、軒並み取り消した(昨日(4月30日)、5月7日と8日の期日も取り消す旨の連絡があった)。法テラスや弁護士会、県庁や市役所の法律相談も、電話相談のみで、対面では行われていないようだ(私は、非常事態宣言後は、それらの法律相談当番に当たっていない)。裁判所や法務局等も、窓口に透明ビニールが設置された。法律事務所の中には、事務所での相談は一律お断りのところもあるようだ。そのせいか、最近、私の事務所への相談依頼電話が以前より増えた気がする。「断らない(断れない)」私としては、従前どおり事務所での相談に応じている。もっとも、事務員さんが、相談者と私が対面する机の中央左右にわたり、裁判所等と同様、透明ビニールを垂らして下さり、一応の「対策」は取った。
 マスクをつけながらの会話にも相当慣れてきたものの、やはり、もどかしさは否めない。先日行われた刑事関係事件の打ち合わせでは、私は裁判所に出頭したが、電話会議での出席者もおり、その方の意見に反論した際は、思わず電話会議システムの器械に向かってマスクをずらして発言し、裁判官から注意されてしまった。
 私の依頼者の中にも、当然のことながら収入が相当減ってしまったと言われる方がいた。先日もそれを理由に約束の報酬を負けてほしいと言われた方がいて、それに応じた。また、最近、法テラスの援助を受けて裁判所に係属中の事件の代理人を受任することになり、裁判所に問い合わせたところ、その事件と密接に関連する別の事件(注2)については受任しないのかと言われたことが立て続けにあった。その依頼者に、関連事件についてどうして私に告げなかったのかを聞いたら、いずれも、法テラスに償還する金額が件数に応じて2倍、3倍になるのではないかと思って躊躇した旨言われた(注3)。結局、依頼者と話し合った上、1件分の法テラスからの援助額相当の着手金で私選受任することにして(支払方法も、分割でも、報酬と同時でもよいことにした)、法テラスにその承認を求めることにした(注4)。
 こんなふうに、私の仕事にも、新型コロナ禍の影響は確実に訪れている(注5)。
 
(注1)本日目にした広島弁護士会長の広島高・地裁及び同管内簡裁に対する「民事事件の進行に関する要望書」(裁判所による期日の取消しに反対等するもの)によると、私自身は今関わっていないが、民事保全事件の期日も除かれている(開かれている)ようだ。
(注2)守秘義務があるので、具体的には書けないが、例えば、家事事件では、同一当事者(夫婦)間に離婚と婚姻費用分担と面会交流調停の3件が同時に係属することは結構あるし、民事事件と人事事件や遺産分割事件など、同一当事者間で関連する複数の事件が係属することはある。
(注3)私はこれまで経験がないが、このような場合、関連するのでその分手間が省けるということで、2件援助を受けても着手金(つまり、依頼者の償還すべき金額)は1.5倍程度にとどまると聞いたことがある。
(注4)法テラスの援助で法律相談をした方から事件を受任(交渉や調停・訴訟等の代理人になること)する場合は、原則、法テラスから援助を受けなければならず、法テラスの援助を受けずに受任(「私選受任」というらしい)する場合には、法テラスの地方事務所長宛に、依頼者と連名で「私選委任契約承認申請書」をFAXし、受任の承認を得なければならない(私はこれまで複数回申請したが、いずれも承認された)。
(注5)一般に、景気が悪くなると、訴額の大きい事件は減り、当事者の金回りが悪くなるから、和解による解決も難しくなると言われている。今回の事態は最近にはなかったようなものであるから、日頃取り扱う仕事の内容によっては、収入が大きく減る弁護士事務所もあるだろう。もっとも、確実に倒産関係事件は増えると予想されるし、私のような「町弁」は人の困りごと(不幸)を糧としているから、仕事がなくなることはないと思う。