広島弁護士会所属 福山市の弁護士森脇淳一

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弁護士の生活(1)

2018.12.05

 弁護士になって1か月が過ぎた。

 周囲からは、「弁護士になって、空が晴れ上がった感じですか?」などと聞かれる。
 どうも、裁判官の生活は窮屈で、上から押さえつけられ、上を見上げればどんよりしているように思われているらしい。
 しかし、私の空の様子は裁判官時代と今とでさほど変わりはない。強いて変わったことと言えば、裁判官であったときは「裁判官の独立」によって守られた法廷(和解室等を含む)や、会議や協議会で、純粋な(現行)「法律問題」を語る場でこそ自由であったが、それ以外の公的発言の場(会議等で裁判制度そのものについて語る場合や、裁判所見学に来られた方々に裁判所について語る場など)では、一応、最高裁当局の方針に反することは言えないなと、「組織」を意識せざるを得なかったが、今はそれがない、ということくらいだろう。

 経済生活は大いに変わった。司法修習生になって以来、約37年半の間、毎月15日(土日や祝日のときにはその後の最初の平日)に、国民の皆さんからいただいていた「俸給(給料)」や「期末手当・勤勉手当(賞与)」は当然のことながら頂けないし、弁護士名簿登録申込みの際には、弁護士会への入会金やら、弁護士会館の建設(した?)費用などとして合計49万円、先月もまた、弁護士会館を建設したことに関する費用として20万円を支払わなければならなかったし、先月から今後毎月、いわゆる弁護士会費(名目は諸々)として5万3300円も支払わなければならない。裁判官時代には、実際にかかる費用には多少足りなかったものの宿舎(官舎)から裁判所までの通勤手当を頂けていたが、今は当然自腹だ。正直、どんどんお金が出ていく感じでちょっと不安だ。

 しかし、こんなことを言っては各方面からのお怒りを買うのかもしれないが、所詮、国民の皆さんから頂いていた「お金」は、(中には喜んで支払って下さる奇特な方もおられるかもしれないが)最終的には国家権力という「暴力」で集めた「税金」であって、毎月1回(賞与のある月は2回)頂きながらも全く居心地の悪い気がしていた(なのに、どうして長々と裁判官を続けてきたかは、またいつかお話する機会もあろう)。私は、ずっと商売をしていた両親の下で育ったから、司法修習生になるまでは、一応は、店のお客さんが「喜んで」(少なくとも自らすすんで)支払った商品に対する「代金」(のうちから商品の仕入代金や従業員に支払う給料、商品の配達に要する車やガソリン代等を差し引いた金)で生きてきた。これからは、依頼者から任意に(「喜んで」が理想であるが)頂くお金で生きる生活に戻れると、ちょっとホッとしている(国選弁護人や、法テラス等の相談事業で頂くお金はやはり「税金」だろうが〜)。(以上)