広島弁護士会所属 福山市の弁護士森脇淳一

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弁護士生活3年経過の現状報告

2021.12.05

 私が弁護士登録したのは平成30年11月1日だったので、令和3年11月1日をもって3年が経過したことになる。
 ずっとコラムを更新していなかったので、依頼者からそのことを指摘されることもあったが、とにかくその余裕がないというしかない。
 せっかく作っていただいた法律相談予定表も使わなくなって久しい。
 せめて弁護士登録3年の節目には何か書こうと思っていたが、その「節目」もいつの間にかとうに過ぎてしまった。
 今日も、2件の難しい急ぎの案件についての起案から逃避するかのように、コラムの更新を思いついた次第である。
 なお、弁護士登録3年を経ないと、裁判所(特別代理人、財産管理人その他種々のもの(注))や、地方公共団体等(各種委員会の委員等)からの弁護士の推薦依頼に対し、候補者として推薦されないようだから、弁護士登録3年経過、というのは、ようやく弁護士として独り立ちできた、ということなのだと思う。
(注)もっとも、私は、山浦善樹弁護士(元最高裁裁判官。「お気の毒な弁護士」参照)のように、原則弁護士1人事務員1人を守りたいので、マンパワーが必要な破産管財人になるつもりはないし、もちろん、後見人になるつもりもない。

 さて、本題に戻そう。
 私が裁判官として民事事件を担当していた当時、原告(一部は被告も)が本人として訴訟している事件(弁護士代理人がつかない事件)の多くは訴額が小さく手間の割に収益が少ないとか、勝ち目がなく、報酬が得られないと思われる事件、そしてこれは言っていいのかどうか分からないが、一見「訴訟狂」と思われる方の事件であったが、その多くは、訴訟までして権利を主張しよう、あるいは、争おうとするのももっともだと思われる事件であった。
 「訴訟狂」となった(確かに、精神を病んでいると思われる方も多かった)のも、丁寧にその方が提出する記録(多くは過去の訴訟記録や裁判書)を検討すると、その方が敗訴した過去の裁判が間違っていて、本来その方が守られるべき権利が守られなかったため、どうしてもその権利を取り戻したくて(中には、そのような間違った裁判所に対する復讐心もあって)、何度負けても繰り返し裁判(その多くは再審。その壁は厚く、過去の裁判が見直されることはほとんどない)を起こされているのであった(そのような誤った裁判の結果、精神を病まれた方についての当該裁判官の責任は重いといえよう)。
 訴額の小さい事件、あるいは、勝ち目のない事件が本人訴訟となるのは、弁護士がその事件の受任を断るからであることは、それら本人訴訟をしている方から聞いて分かっていた。残念なことだが、弁護士が援助すれば、もしかしたら勝てるのではないかと思われるような事件であっても、その援助がないため、仕方なくその本人に対して敗訴判決を書かざるを得なかったこともないではなかった(私は、その本人に積極的に釈明して、「正しい判決」をしようとしたが、それに対し、相手方弁護士からクレームが付くこともあったし、そもそも、私の「勝つかもしれない」という見立てが正しかったのかどうかも分からない)。
 そこで、私は、弁護士になったら、そのような事件(精神的に病んでしまった方の事件を含む)や、他の弁護士が断った事件も積極的に受任しようと思っていた。
 という訳で、私は、弁護士になってからは、自分がある事情からやるべきだと思った訴訟は無料でも引き受け、訴額が小さくて、とても旧日弁連報酬基準規程の最低10万円(プラス消費税)をもらうことができないような事件についてはそれ以下の着手金で、そして、それ以外の事件でも、差を付けるのはおかしいと思ったので、ほぼ法テラスの報酬基準で事件を受任してきた。
 しかし、最近、ある依頼者から、「ほかの事務所では30~40万円の着手金を要求されたが、先生は11万円で受けてくれると言われたからとても嬉しかったし、やる気がおきた」と言われたこと、事件が多すぎて実際手が回らなくなってきたこと(平日はいっときの休みもなく来客予約が一杯で、書面作成は土日にしていたが、それでも回らなくなったため、平日、主に水曜日には自宅で書面書きをしている)から、従前のやり方は変えざるを得ないと思うに至った。
 まず、破産と個人再生事件は(他の事務所が断ったのには理由がある難しい事件が多いが、私の手にも負えないことも多いし、その種の事件を得意とする事務所にお任せした方がよい。また、他の民事事件についてはともかく、その種事件に限っては法テラスの援助事件でも受任しているという弁護士もいることが分かったので)お断りすることにした。
 さらに、法テラスの援助基準を満たさない方については、そもそも、法テラスの趣旨からして、通常の着手金や報酬を支払う資力があるということなのであるから、従前の倍ほどの着手金をいただくこと(そうすれば、依頼事件が減るのではないかと期待して)とした(人にお金を要求することが苦手というか、裁判官生活でそのような経験がなかったので、中々実行するのは難しいと思うが、来年1月からは意を決してそうしたい)。
 以上が、弁護士登録3年目の私の近況報告である。